■随分前の話になりますが
PFFの全国展開で神戸に行って来た。
いろんな良き方と巡り会い、話し、
忘れられない時間になった。
こうして映画を撮っていなきゃ出会う理由はなかったわけで
そう考えるとこの地方巡回にはすごく意味があると思った。
毎度の事ながら、新幹線の窓際は故郷との再会を果たし
静岡、愛知と移り行く街並を堪能させてくれた。
神奈川西部〜東海地方のあの景色が好きだ。
田園地帯の真ん中に堂々とかまえるショッピングモールなんて
本当に魅力的だと思う。
神戸の街は初めて降り立ったにも関わらず懐かしかった。
駅を出るとすぐに迎える潮風は、海好きにはたまらないと思う。
デートスポットがあまりにロマンチックで
一人で行った僕にはアウェーの洗礼だったけれど。
帰りの新幹線も、ちゃんと窓際キープで
次々に流れる光を見た。
前にもこのブログで書いたし、
しまいには新作の「SchoolGirl×Complex」で台詞として言わせてしまったけれど、
無関係な街で煌煌と灯るあの光を見るといつも思う。
あの光の数だけ家庭があり、事情がある。
あの光の中で誰かが誰かを想っているかもしれないし、
裏切られているかもしれない。
誰かを待っているかもしれないし、誰かと巡り会えた合図かもしれない。
ケンカをしている人も、愛し合っている人もいるんだろう。
泣いている人も、笑っている人も。
無関係な僕が、無関係な家庭の光を見てそんな事を思う事。
無機質で高速な鉄のかたまりが、無関係な街を通過する事。
両手で囲って作った小さな世界は
毎度、僕にいろんな事を考えさせてくれる。
今週末は愛知へ行きます。
無関係だけど、無関係じゃない。
僕にとってすごく意味のある街、愛知。
PFF愛知会場【愛知芸術文化センター】
11月28日(日) 11時〜
※舞台挨拶あり
ぴあフィルムフェスティバル
■最近、といっても「SchoolGirl×Complex」がクランクアップしてから
昨年に撮った「オードリー」という長編の仕上げをしています。
半年前のオフラインでは90分近くあった本編も、
今月から始めたオンラインでは何度も見て行くうちに
あれよあれよと短くコンパクトになります。
切るのは、もちろん尋常じゃなく痛烈な思いで切るのだけど
切ってしまえば何とも思わなくなるから不思議。
そして何より、切って元に戻す行為こそが重要。
編集は果てしないし、物語のもつ意味を変えてしまうからおもしろい。
もう100回以上は見た本作だけど、未だに飽きずに見れる箇所は強い箇所。
本完成直前で、やっとこの作業から解放されると思うと
だいぶ嬉しいけれど、だいぶ寂しい。
「はい!もしもし、大塚薬局ですが」は諸事情により
編集期間がタイトで直感作業だったけれど
「オードリー」に関しては一年も編集に費やす時間がもらえたのは
本当にありがたかった。
どこを切っても好きな部分。やりたかった部分。
そういう作品をずっと作りたかったので、この作品はすごく大切にしようと思う。
来月の今頃は、街は、すっかりこの曲が似合う季節。
個人的にクリスマスには否定的なので、普通に作業してそうですが。
「綺麗だろ」って思わせる為に彩られたイルミネーションを見て
「綺麗だ」って思って心躍る姿が様になるのは高校生まで。
ただ、街中の煙突を巡って、
聖しこの夜にやってくるサンタクロースの存在だけは
いくつになっても信じていたいです。