今日は「それはそれで素敵だった」ラスト上映の日。いろんな想いがつまった作品。正直いい思い出ばかりではなかったさ。回り道ばかりして、上映に1年かかった。去年の今頃、必死で脚本を書いていたのを思い出した。
撮影中のエピソード。見た人はわかると思うが、フユヒコが田んぼでしずくさんへの想いを告げるシーン。あのシーンを撮影中俺は2時間目が見えなくなった。両目ではなく左目だけ。そして鼻血がどくどくと出て来た。尋常ではない鼻血の量に「俺、死ぬのかなぁ」なんてぼんやりと考えていた。あの時俺は「この作品が撮れるなら死んでもいい」なんて無茶な事を考えていたものだ。
そして、キャスト達との作品にかける思いに差を感じ始めた。役者志望でもなんでもない、いわば「友達」の彼等と作品を撮ったわけだが、さすがにあのハードスケジュールはきつかったと思う。深夜3時解散。朝4時集合。これは本当にきつかったと思う。今やすっかり寝ぼすけの俺だが、この撮影ではいつも一番だった記憶がある。ユンケルを朝昼晩、計3本。ドーピングのようなもんだな。こりゃ。ハイエースに乗り込み、小田原中をぐるぐるまわった。どうしても電車内シーンを撮りたくて小田急線に何度も交渉に行った。駅員の態度の悪さに腹が立ち、喧嘩になり警察を呼ばれそうになった事もあった。ラブホテルの撮影では、「エロビですか?」と疑われた。キャスト達も暑さで集中力が切れ、眠さで苛立ち、衝突だってあった。決して撮影は上手く行ったわけではない。
それでも最後まで一緒にやってくれた彼等を誇りに思う。演技なんてこれっぽっちも興味ないのに最後まで一人の人間を演じてくれた事を嬉しく思う。
そんな思いが巡ったラスト上映。お客さんは決して多くはなかった。それでも、まさかこんなに来るとは思ってもいなかった。本当に嬉しかったです。
遠いどこかで花火が音立て割れる夏の夜、ブサイクでもてない童貞達は最後まで走り抜いた。ビリッけつでも一等賞。そんな言葉がふさわしいね。俺的にも一年前の作品なので、いろんな部分が甘くて正直、もう一回全編撮りたいくらいぐらいだけど、なんだか、もうこれ以上いかない気もする。奇跡は二度起きないように。これはこれでいい。「それはそれで素敵だった。」この言葉が本当にこの作品にふさわしいなぁと感じた。
帰りにマックへ行った。隣の席でイケメン4人組が女の話をしていた。あいつらの青春はきっと輝いてるんだろうなぁ。羨ましくもなったりしたけど、やっぱり俺のクソみたいな青春だって輝いていた。輝きの部類が違うだけだと思った。男だらけの部屋の中で、大好きなあの子を思い、その子が映っている写真を抱いて寝た蒸し暑い夏の夜。そしてあの日に見た幸せな夢。一生タカラモノにしよう。それはそれで素敵だったんだから。まじで。
「それはそれで素敵だった」をわざわざ見に来て頂いた全ての方。本当にありがとう!!小田原のキャスト達も照れながらもめちゃくちゃ喜んでいます。本当にありがとう!!俺が良く口にする「小田原の仲間」とは、ハルヲとナツキとフユヒコの事です。ヤツラは俺の生涯の仲間です。街でみかけたら「すいません、もしかして童貞ですか?」と声をかけてやってください☆
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