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DVD発送の方も一段落。新作執筆の方も順調。いつになく順調で怖くなる。結末はありきたりではなかろうか?観ている人を意外なところでびびらせて胸をキュンさせる事が出来るのだろうか?でもこの作品は自分でもお気に入りだ。今までにない感じだと思う。僕の新作はいつも通り女の子がキーとなる。慎重にキャスティングさせて頂きます。

レゴトラの新曲『距離を越えて、君を幸せに。』をかれこれ一日中聞いている。どこへ行くにも聞いている。眠る時もエンドレスリピート。なので起きたらすでにかかっている。切ない曲なので今日の寒い朝は本気で切なくて泣きそうになった。もはや生活の一部。最高に素敵な曲だ。ライブでやってくんないかな。生で聞いたら泣いちまう。これは。

随分とご無沙汰していたバイト先の居酒屋が今月で閉店するらしい。ショッキングな話だ。もはや社員の皆さんとは家族のようなものだったのに。こんな頭の悪く仕事の出来ない僕を最後の最後までバイトとして使ってくれた。ずっと温かい目で見てくれたんだ。聞くところによると、僕は開店史上最高の問題児だったらしい。入った当初はホールに出てお客さんに接客していた。注文を聞いたりお酒を運んだり、いわば例の「よろこんでー」もみたいな感じだ。しかし、ある程度慣れて来た僕は徐々に「バイトをしている」という感覚から「楽しむ為に来ている」という最悪な気持ちでバイトをするようになった。酔っぱらってセクハラする会社員さんを「日本一のダメ課長さん」と勝手にあだ名をつけたり、一人淋しくカウンターで酒を飲む人に向って「リストラの事、まだ気にしてるんですか?一日も早く奥さんに言わないと後で辛くなりますよ」と勝手にその人の人生を悟ったり説教したり、しまいには盛り上がってるお客さんに紛れて酒を呑んで酔っぱらい、そのまま眠るという、普通ならクビにされるべき事までやった。そして僕はホールから厨房へと移らされた。しかし、ここでも僕はまったくダメだった。生焼けの焼き鳥をそのまま出したり、2本のなんこつを焼くのに10本黒こげにしたり、一度落ちた豆腐で厚揚げを揚げたりした。こんな僕を最後まで使ってくれた板長さん、社員さん。本当にありがとう。何回も怒られて何回もヘマして、それでも最後まで見捨てなかった板長さん、社員さん。本当にありがとう。

僕が初めてまともに焼き鳥を焼けた時、味見をした板長が「勝又君、俺感動だよ。やっと出来るようになったじゃん」って。いえいえ、あの後その言葉に感動した僕はこっそり便所で泣いたんです。初めて褒められて本当に嬉しかったんです

そんな思い出が詰まった場所が一つなくなる。いつまでもあの味を、あのクソ暑い厨房を、なぜかいつも僕の役目のドブ掃除も、バイトの女の子に実はずっと軽蔑の眼差しで見られていたホールでの淋しい夜も。全部忘れないでいようと思う。

もうすぐ、みんなはバラバラになるけどもいつかまた僕が焼き鳥を焼いたら真っ先に食べてもらおうと思う。板長や社員さんや、あの店で働いていた全ての人に。

だから それまで、「仕事の出来ない、映画監督のバカ勝又君」を


忘れないでいて下さい。




写真 DVDはもうすぐお手元に届くと思います。僕の愛する子供達は偉そうに「岩井俊二コーナー」の前で面置きで陣取っています。