いよいよ、時間がないと認識してきました。
新作「オードリー」ですが
無事、主演の俳優さんが決まりました。
今は、スピンオフ作品の「ツンDE-Re:my-heart」という作品の仕上げをしています。
明日は最後のアフレコ収録なので、
久しぶりにキャストさんやスタッフさんたちと逢えると思うと楽しみです。
今月は映画祭や撮影や編集などで
ほとんど家にいませんでした。
夏の我が家は地獄です。虫が大量発生します。
なので、夏に家にいなくてもいいという事では一石二鳥なのです。
引っ越したいのですが、極度のめんどくさがり屋なので実行に至りません。
今年は車移動よりも新幹線移動が多かったような気がするので
新幹線について書きたいと思ます。
新幹線に乗る度に思う事があります。
地名は、時々、人を喜ばせたり、
悲しませたり、不安にするという事です。
遠距離恋愛を経験した事のある人なら、尚更です。
夜の新幹線の
ネオン、闇夜、ネオン、光、
窓際、
車内の光を遮るために、両手で作った小さな囲い、
それは、自分だけの小さな世界。
さっきよりも色が濃くなった夜になり、
確かに光が見えた。
あの不安定な光を、僕はひどく愛したんだと認識するまで
そう時間はかからず。
次の停車駅の名前を告げるアナウンスをひたすら待ち、
耳に優しいその声が、
やっと駅の名前を告げるとドキッとする。
思想や哲学なんて一切忘れるくらい、
その地名や、その街に対して美学をもっていた。
街の名前だけで
人はこんなにもドキドキするものなんだと教えてくれた。
そんな、「あの頃」を一瞬で掘りかえしてしまう魔法が、
新幹線にはあるんだと思う。
聞き慣れない地名や
見慣れない光と
ぎこちない囲いの、小さな世界と
相成って、巡る。
眠気眼も、疲れた体も、
そんな全てを忘れてしまうくらい
新幹線は、「あの頃」を通過する。
僕のカスカスな脳の中の隅っこで
確かに存在する、そんな器用なあの子を
時々、思い出して。
「二人の距離を測ってみて」
「20000km」
「一瞬ではいけない距離だね」
「うん」
「逢いに行くよ」
「また、口ばっか」
小さな世界
そんな20000kmが少しずつ短くなって
しまいには、間近になった夜。
両手が作ってくれた囲いを
僕は、すごく愛しく思った。
2人の距離、
0km、
でも、
声は届かず、
触れる事なんてできやしない。
通過、
通過、
通過、
速度はきちんと、残酷に。