2009年08月

速度と距離、通過




いよいよ、時間がないと認識してきました。
新作「オードリー」ですが
無事、主演の俳優さんが決まりました。


今は、スピンオフ作品の「ツンDE-Re:my-heart」という作品の仕上げをしています。
明日は最後のアフレコ収録なので、
久しぶりにキャストさんやスタッフさんたちと逢えると思うと楽しみです。


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今月は映画祭や撮影や編集などで
ほとんど家にいませんでした。
夏の我が家は地獄です。虫が大量発生します。
なので、夏に家にいなくてもいいという事では一石二鳥なのです。
引っ越したいのですが、極度のめんどくさがり屋なので実行に至りません。

今年は車移動よりも新幹線移動が多かったような気がするので
新幹線について書きたいと思ます。



新幹線に乗る度に思う事があります。
地名は、時々、人を喜ばせたり、
悲しませたり、不安にするという事です。

遠距離恋愛を経験した事のある人なら、尚更です。


夜の新幹線の
ネオン、闇夜、ネオン、光、

窓際、
車内の光を遮るために、両手で作った小さな囲い、
それは、自分だけの小さな世界。


さっきよりも色が濃くなった夜になり、
確かに光が見えた。

あの不安定な光を、僕はひどく愛したんだと認識するまで
そう時間はかからず。

次の停車駅の名前を告げるアナウンスをひたすら待ち、
耳に優しいその声が、
やっと駅の名前を告げるとドキッとする。


思想や哲学なんて一切忘れるくらい、
その地名や、その街に対して美学をもっていた。

街の名前だけで
人はこんなにもドキドキするものなんだと教えてくれた。


そんな、「あの頃」を一瞬で掘りかえしてしまう魔法が、
新幹線にはあるんだと思う。


聞き慣れない地名や
見慣れない光と
ぎこちない囲いの、小さな世界と


相成って、巡る。


眠気眼も、疲れた体も、
そんな全てを忘れてしまうくらい
新幹線は、「あの頃」を通過する。


僕のカスカスな脳の中の隅っこで
確かに存在する、そんな器用なあの子を

時々、思い出して。



「二人の距離を測ってみて」
「20000km」

「一瞬ではいけない距離だね」
「うん」

「逢いに行くよ」
「また、口ばっか」


小さな世界
そんな20000kmが少しずつ短くなって
しまいには、間近になった夜。

両手が作ってくれた囲いを
僕は、すごく愛しく思った。


2人の距離、
0km、
でも、
声は届かず、
触れる事なんてできやしない。

通過、
通過、
通過、


速度はきちんと、残酷に。



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ラ・ク・ガ・キ






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「はい!もしもし、大塚薬局ですが」の話題ばかりで申し訳ないですが
すごく好きなシーンがあります。

落書きだらけの好きな人の机に
自分の名前を紛れ込ませて書く、という
なんてことないシーンなのですが。

本当になんてことなくて
カットしようかしまいか、最後まで悩んでいるのですが、
実は一番好きなシーンです。



もちろん、こんな過去は実際になかったし、

落書きだらけの僕の机は
純度100%の僕のヘタクソな文字だけだったし、

もちろん作り話でしかないのですが、
こういう日常をポンといれる事に意味を感じています。



脚本を推敲している時期に
「このシーンは本当に必要なの?」と問われ
「必要です。絶対必要です。なきゃダメです。絶対ダメです。」と
大人げなくダダをこねたのは、ここだけの話。




中学校のシーンは、
僕の母校で撮影したのですが、

あの頃に書いた落書きがまだ残っていて
すごく嬉しかった。
(先生、ごめんなさい)


そして、その汚らしい僕の落書きの真横に
キレイで若干角張った、あの子の落書きがあった。


「コ・ク・ハ・ク」
なんて、出来やしなかった。



でも


「ラ・ク・ガ・キ」
が、教えてくれた。


叶わなかった恋は、
実は、叶っていた事。


13年後に届いた、あの子の気持ち。

と、


13年も待てなかった、僕の気持ち。










SUPERCAR - Cream Soda




いつかはキミと
本当の空を飛べたらなぁ、ってそれだけさ。

いつかはキミに
本当の事を言わなきゃなぁ、って思ってた。

いつもの空で
今夜もキミにあえたらなぁ、って
それだけさ。

空にかざしてる



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「はい!もしもし、大塚薬局ですが」の編集も一段落し
あとは微調整、EED、MAを残すのみとなりました。

しばらくこの作品の事ばかり考えていたし
撮影終了後に即編集に取りかかったので
未だ客観的に作品を見れていないので何とも言えません。

ただ一つ思うのは、編集とは非情な作業で
そこに人情や温情は一切いれる事の許されない作業だという事です。


粘って粘って半日かけて撮った1カットよりも
現場で思いつきで撮った1カットの方が遥かに良かったりするし
満足して安心していた1カットよりも
時間や色々な問題で泣く泣くOKを出した1カットの方が
意外としっくり来る事もあります。


今はいろんな人に作品を見せて、たくさんダメ出しをしてもらう事が
大事だと思っています。


秋に撮る「オードリー」という長編の準備がスタートしました。
まだ脚本を推敲している真っ最中なので
どういった作品になるかは全くわかりませんが
こっちはこっちでまた新しいものを撮りたいです。



夏がいつの間にか中盤にさしかかりました。
今年の夏はNO海NO花火NOバーベキューです。

夜の海へ気分転換にドライブするくらいです。



きっと僕がこうしてカタカタと文章を打っている瞬間に
夏という最高の大義名分の下、
恋に落ちている男子と女子はいると思うし

アルコールを口にしたら走り出すエンジンも
それを許す者がいるからこそ、成り立つ関係であって
それはそれでいいのだと思います。

太陽sunsunなら、それはそれで、アリなんじゃないでしょうか。




ところで、僕は最近
「なんで、大塚薬局っていうタイトルなんですか?」
と聞かれる度に、このタイトルにした事を後悔しています。

99%の確率で、答えを聞いた人がドン引きの表情をするからです。






今日の一曲は




Coma-Chi - Michibata


最近の僕の車内BGMナンバー1のcoma-chiです。

夏の朝の気怠さは、こう表現されるのが一番しっくりきます。
そんな気怠さすらも「夏だね」の一言で片付けられてしまうのですから、

楽しいもつまらないも、ハイテンションも眠いも
だるいも最高も、好きも嫌いも、美味いも不味いも
愛してるも裏切りも、

結局、夏なのです。

ever green





RYO the SKYWALKER - EVER GREEN




今までそこにあった
永遠をも思うような儚い美しいものが

突然、雨のように流れ、
風のように、吹かれ、
虹のように綺麗に
最後まで綺麗に。


異国と交わす、一方通行の会話。
それでも感じるその支えだけを糧に、
歩いて行く僕らは
最高のカタチ、最低のカタチ
こうして元気をもらう。


絶対叶えるよ。
絶対掴むよ。
約束は守る為に、ある。


だから、今も笑ってるかな。
あのまんまの笑顔で。



最高のカタチ、最低のカタチ。

こうしてまた巡り会う。



“また逢える。また逢える。必ず、また逢える。”



“あいつに、また逢える”



次にあったら、絶対、もう一度、抱きしめる。

深夜3時発、銀河鉄道乗れば、もう




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「はい!もしもし、大塚薬局ですが」無事クランクアップしました。
キャストの皆さん、スタッフの皆さん、関係者の皆さん、
本当にありがとうございました。

偶然にもクランクアップの瞬間は
僕の実家近くにあります、田園で迎えました。

僕の映画を見た事がある人なら
この田園に見覚えがある人は多いかと思います。
それくらい思い入れのある場所です。

そんな気の置ける場所でクランクアップだなんて
なんて素敵な瞬間でしょう。


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そして、僕は、燃え尽き症候群に陥る暇なんてなく
編集作業まっただ中です。

秋には「オードリー」という新作がクランクインします。

編集と執筆で夏は過ぎ去って行きます。


今作「はい!もしもし、大塚薬局ですが」は
今秋にお披露目上映があるそうです。
詳細がわかり次第にここで告知します。


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クランクアップのお祝いに、東京ネットムービーフェスティバル事務局の皆様から
すいかをいただきました。
今年初のすいか。すんごい、うまかったです。

当初はまったく実現性0な企画だったにも関わらず
こうして製作のチャンスをいただき、事務局の皆様には心より感謝しております。

いろいろと意見が食い違ったり
投げ出しそうになったり
途方にくれることもありましたが

その度に、向き合って話し合いの機会を設けていただき
本当にありがとうございました。

クランクアップの瞬間、
間違いなく自分の納得のいく作品になると確信したし
ちょっとばかし、映画との距離を見つめ直す事もできました。

「はい!もしもし、大塚薬局ですが」を撮れて幸せでした。





今日の一曲は

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オードリー feat. KENTY GROSS / BES

BESの新曲が
秋に撮る新作と同じ名前でびっくりです。


追いかけても
追いかけても、
近づけないのさ、オードリー。

深夜3時発、銀河鉄道乗れば、もう、
二度と逢えないのに。
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