昨夜、というかもう朝方に作業を終え
ぼけーっとしていると庵野秀明監督作品「ラブ&ポップ」の
オープニングのカットが気になり始め、
「10分だけ」のつもりでDVDを見始めました。
気がついたら、もう太陽サンサン、すっかり朝でした。
「ラブ&ポップ」を初めて見たとき
たしか、映画を撮り始めた20歳の頃でした。
見慣れた陳腐な家庭用DV画質で繰り広げられる
女子高生の日常は、摩訶不思議で
これは果たして映画なのか?と衝撃を受けた記憶がありました。
また、同時に女子高生の描写に賛同できない部分が多々あり
気になりつつも、そこまで再見したい作品ではありませんでした。
時が経ち、いつの間にかDVDを購入し
いつ見るのかも曖昧に、棚に眠っていた「ラブ&ポップ」。
相変わらず見慣れたDVの画質、4:3のサイズ。
でも、とにかく斬新。
今見ても斬新なのです。
特殊なアングルや、定説無視のカット割り。
饒舌なナレーション、 多用するテロップ。
映画祭になんて出したら真っ先に「怒られる」手法の数々。
時が経ってみた女子高生のあの描写は
ずっと古くさくなっているはずなのに
なぜか、今のほうが響く。
あの頃じゃわかりっこなかった、
リアルな刹那が閉じ込められている一作。
家庭用DVじゃなきゃ伝わらないもの。
家庭用DVだからこそ伝わるもの。
すべてを確信犯的に多用する演出にぐっと引き込まれました。
10年以上前の作品なのに、新しい。
そして、10年以上前の作品なのに今の現状を表すような
少年少女の描写。
あの頃の女子高生と
今の女子高生の違いなんて、まったくなくて
時は巡り、背景は変われど
ただ、ルーズソックスか、ハイソックスか。
PHSか携帯か。
伝言ダイヤルか出会い系(もっと突っ込んで言うとmixiやtwitter)か。
それだけの違いなんじゃないかって思いました。
つまり、もはや枕詞に近い「最近の若いのは…」と訴え続けた大人の戯言に
聞く耳すら持たなかった彼らの圧勝だったという事です。
仮に「子供」VS「大人」の構図が社会で定説化するならば
大人の皆さんに、永遠に勝ち目なんてないと、
「ラブ&ポップ」に教えられました。
大人に、放棄された末に見た楽園。
「一瞬夕日が綺麗だった」とか
「さっき食べたご飯が美味しかった」とか
「明日は何しようかな」とか
その楽園で繰り広げられる
忘れちゃいそうだけど、忘れたくない事実。
忘れるべきなんだけど、忘れられない事実。
そして、
忘れてしまったけれど、忘れたくなかった事実。
そんな儚い事実を閉じ込めた映画なんだと思いました。
家庭用DV画質が、35ミリのビスタに変わった瞬間。
ぞくっととします。
それを彩る、名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」にも、さらにぞくっとします。
本編のラストシーンからエンドロールの映像ですが
これだけ見ても、ネタバレにはまったくならないと思いますので
ぞくっとしたい人は是非。