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その学校には、
いつもの場所があって
彼女たちは何かあると、いや、何もなくても其処に集まった。

埃だらけのマットと、
落書きだらけの上履きと、
購買で買い占めた食料と。

他愛のない会話の繰り返しの中に
確かに大人になる為の秘訣みたいなのが隠されていて
皆、それぞれ、其れを探った。

寝転がって見えた夕陽や、
掌を霞めた進路や、 
闇雲に繋いだ言葉や。


18歳。


此処から飛び立つ為に、何が必要で何が不必要か。
答えは答案用紙に書く必然も無く、
だからといって、進路表に堂々と表明する事でもなく、
きっと、あの部屋の会話に隠されていたんだろう。

透明で目映い、そんな未来が、もうすぐやってくる。

長袖からこぼれ落ちた春が、

抱きしめた拍子に落としてしまった、春が。