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新作短編「制服哲学2」が
シネマート六本木で開催されている「映画太郎Vol2」にて上映されています。

次の上映は
7月24日(火)の16時45分〜
になります。



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31歳になる直前の数日間。
主演の勝尾麻結奈さんだけを連れて、故郷の足柄で撮りました。

風に揺れる夏草も、目映いくらいの青空も、無数に広がる星屑も、
蟹が遊歩行する川沿いも、遠くで鳴るゆうやけこやけも、友達と歩いた通学路も、
足柄の街を叩き起こす朝焼けも、大嫌いだったプールも、ずっと乗りたかったあじさい電車も
それはとても、偶然に切り取る事が出来ました。
とてもとても愛しい作品に仕上がりました。

僕にとって、もう夏休みなんてものはなく、
夏休みが来る前のドキドキとか、憂鬱なんて感じる事は出来なくなってしまいましたが
どうしてもそのすべてを映像に納めておきたくて、
そしてそれを年齢を重ねる前に撮りたくて、制作しました。

スタッフが誰もいない現場で、僕はカメラをまわし続け
勝尾麻結奈さんだけを被写体に撮り続けました。

勝尾麻結奈さんは高校三年生。
自作「ショートヘアーワルツ」、「少女と、女」を経ての三作目。
着実にステップアップしてきた彼女の一区切りのつもりで
今回オファーさせてもらいました。

彼女にとっての高校生活最後の夏がやってきます。
歓喜と、誘惑と、焦燥に溢れた夏です。
クリーニングに出した制服に変わり、夏服を来て
ハイソックスを脱いで、裸足で駆け抜ける夏が。

彼女にとっての「制服哲学2」は
生涯一度きりの高校生最後の夏の記録です。
10年後、20年後、この映像を見て、何かを感じてくれたらいいなと思います。


最初のシーンで感じた彼女の表情の迷いは
最後のシーンでは、綺麗に取り払われていました。
強い目で、優しい笑顔で、とても不完全な口元で、
言葉を話す彼女を見て、僕は彼女を主演にした事を誇りに思いました。

僕はきっと何かを目撃し、何かに撃たれ、何かを奪われたのです。

そして、編集モニターの中の、
その一部始終を眺めながら僕は歳を一つ重ねました。


気がつけば終わっている。
夏はいつも気分屋すぎます。

いつか、失うとわかっていながらも、愛し続ける。
なんだか、それは僕が高校三年の夏の時にも、感じたような気がしました。


失いながら、僕は、夏を終え、秋を越し、冬に辿り着き、春を迎えたのです。
大嫌いだった制服を脱ぎ、好きな服を着て、ただそれだけで
大人になった気がしていました。


きっと彼女も、その想いを、もうすぐ感じるのです。


「大人になんてならないで」
いつも思います。
胸を強く締め付けられるように、
いつもそう思います。


そしていつも、こちらに向けて手を振る誰かに対して、
僕もまた、
手を振り返すのです。


愛しさの言葉も並べられないままに。