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毎年正月の楽しみと言えば全国高校サッカー選手権。
今年は、宮崎県の鵬翔高校の初優勝という形で幕は下りた。
全体的にハイレベルな大会で、例年よりも見入った大会になった。

神奈川県の桐光学園も大奮闘し
ベスト4という成績を残した。

その桐光学園を準決勝で圧倒した高校。
京都府の、京都橘高校。

僕はある一人の選手に魅了された。

仙頭啓矢選手。

小柄ながら卓越した個人技と
高校生離れしたゴールへの嗅覚。
トラップ、パス、シュート。
どこをとっても今大会で一番だったのでは、と思う。

大げさなプレーをするわけではなく、いつも冷静にピッチを舞った。
どんな状況でも飄々とプレーし、天才かのように振る舞った。
いつの間にか僕は彼を追うようになっていた。
彼がボールを持てば何かが変わる、何かが起きる。
そんなドキドキを与えてくれた。

そして京都橘高校は、決勝戦で鵬翔高校にPK戦の末破れ
準優勝という結果で大会を終えた。

PKを唯一失敗したのが仙頭啓矢選手だった。

あんな顔を初めて見た、と思った。
蹴ったボールが右ポストに直撃し、天を仰ぐ。
天才のようにボールと戯れたあの表情ではなかった。

高校三年間の集大成は、PK戦という運で決着が付く
皮肉な結果で終わった。



仙頭啓矢選手は泣き、崩れ、自らの失敗を悔やんだ。
ロッカールームの映像では、子供のように泣きわめいていた。
それはそれは、素敵な泣き顔だった。

プロ入りではなく大学進学を選んだ彼は
これからもっと多くの挫折と立ち向かうだろう。
高校生エースの重圧がのしかかり、思うようなプレーも出来ず
もしかしたら、サッカーを嫌いになってしまうかもしれない。
体格差に悩まされ、怪我とだって闘う日々も訪れるかもしれない。

でも、彼はやってくれると信じている。

僕が見たいのは、もっとその先。
青いユニフォームに袖を通し、
仲間を鼓舞し、またあの飄々とした表情で
あっと驚くプレーを世界に見せてほしい。


あの涙の流れる先に、いつかの栄光が待っていると信じている。
僕は楽しみにしている。


仙頭啓矢のこれからを、僕はずっと楽しみにしている。